大切な方が旅立たれて、四十九日の忌明け後、初めて迎えるお盆を「新盆(にいぼん)」と呼びます。

新仏が浄土から初めて里帰りする新盆について、ご遺族の約6割が何らかの法要や供養をしたいと考えています。
しかし、初めて葬儀を行ったご遺族にとっては、「何をどうしたらいいのか、わからない!」という方も少なくありません。

今回は、初めてお盆を迎える準備、新盆法要の流れとマナーについて解説します。

新盆は何をする行事なのか?

お盆は一年に一度、その家のすべての先祖の御霊が自宅にお戻りになる期間です。

先祖供養の行事であるお盆は、もともと旧暦の7月15日に行われていましたが、明治時代に新暦が採用されると、東京や神奈川の一部地域では新暦の7月13日から16日、全国的には月遅れの8月13日から16日に行われることが多くなりました。

お盆の迎え方は地域や宗派によってもさまざまですが、菩提寺の僧侶が檀家を訪問して読経をあげたり、親戚を招いて供養したり、盆踊りや花火大会を催して、この世に帰ってきた御霊を供養する地方もあります。
また、お盆の期間を一緒に過ごした先祖の御霊を川や海へ送る精霊流しや灯篭流しの風習などもあります。

お盆は千年以上前に大陸から日本に伝わってきた仏教が、日本古来の祖霊信仰と融合しながら、祖先や地域とつながりのあるすべての御霊を供養する大切な年中行事です。

新盆とお盆の違い

故人が亡くなって四十九日の忌明け後、初めて迎えるお盆のことを「新盆」と言い、地域によって「にいぼん」「しんぼん」「あらばん」と読みます。また「初盆(はつぼん)」と呼ぶ地域もあります。

四十九日の忌明け前にお盆を迎えた場合は、新盆の供養は翌年に行います。
浄土に旅立たれた大切な方が、新仏となって初めてお迎えする新盆では、喪家は自宅に親族や友人を招いて、僧侶に「棚経(たなぎょう)」というお盆の読経をお願いする法要などを営みます。

浄土真宗では、お盆のことを「歓喜会(かんぎえ)」とも呼び、菩提寺や自宅に僧侶を招いて法話会を開きますが、特別に先祖の霊をお迎えする準備はしません。

お盆の由来

日本のお盆は先祖を供養するための行事ですが、もともとは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、古代インドのサンスクリット語の「ウランバナ」の音訳が語源とされます。

釈迦(しゃか)が在世の頃、目連尊者(もくれんそんじゃ)という人物が、飢餓道(がきどう)に落ちて苦しむ母親を救うために、釈迦の教えに従って7月15日の「自恣の日(じしの日)に修業を終えた僧たちに百味の供物を施したところ、僧たちの功徳によって母親を救うことができたという説話が中国に渡り、「7月15日の盂蘭盆会は、7世の父母をも救う」と信じられるようになりました。

日本に盂蘭盆会が伝わったのは飛鳥時代(6世紀末~710年)とされ、『日本書紀』によれば、はじめ宮中の行事として行われていたものが、やがて貴族や武家の間にも広がりました。

鎌倉時代になると庶民も盂蘭盆会を行うようになり、寺請制度(てらうけせいど)が定着した江戸時代になると、日本古来の祖霊信仰(祖先の霊が生きている者に影響を与えているという信仰)や農耕儀礼と結びつき、お盆は正月と並ぶ大切な年中行事になりました。

新盆の準備で必要なこと

新盆を迎えるにあたって、多くの皆さんが「何をすればいいか?」と迷われます。

動物を模ったナスやキュウリをお供えしたり、庭で焚き火のようなことをしている風景は、映画やドラマで見た記憶はあるけれど、実際に自分たちでそれを行うとなると、何から始めたらいいかわからない。

そんな方のために、新盆の準備で必要なことを、その意味も紐解きながら説明します。

精霊棚(盆棚)の準備

お盆のとき先祖の霊を迎える場所を、「精霊棚(しょうりょうだな)」あるいは「盆棚(ぼんだな)」と呼びます。

仏壇の中心は、仏様がいらっしゃる世界「須弥山(しゅみせん)」を表しています。ですから先祖の位牌は普段、仏壇の中に安置されています。

お盆の期間、先祖の御霊は仏様がいらっしゃる世界から、現世に住む私たちのもとに帰ってくるので、位牌を仏壇から取り出して精霊棚の最上段の中央に飾ります。

精霊棚の飾り方は地域や宗派によっても違いがあるので、近くに住む親戚や仏具店の店員と相談しながら、予算に合うものを選びましょう。

新盆の精霊棚を飾るうえで大切なことは、新仏となられた故人を初めてお迎えする家族の気持ちです。

立派な精霊棚の準備がなくても、旅立たれた方が好きだった草花や料理、趣味の品々をお供えするだけでも、きっと故人は喜ばれるはずです。

無宗教葬で送られて位牌をお持ちでない方は、故人の遺影や手元供養のお品などは普段と同じ場所で構いませんから、家族の手で用意した心のこもったお供えを準備することをお勧めします。

真菰(まこも)

精霊棚には「真菰(まこも)」のゴザを敷き、「ほおずき」や「精霊馬(しょうりょううま)」などを飾ります。

真菰は、仏陀が病人を真菰で編んだゴザに寝かせて治療したという仏話から、ほおずきは先祖の霊が迷わず辿り着くための道しるべの灯りの意味があります。

精霊馬

精霊馬は、ナスとキュウリに「おがら(麻の茎の皮をはいで乾燥させたもの)」や割り箸を刺して、牛と馬に見立てたお盆飾りです。
先祖がこの世とあの世を行き来するとき、馬に乗って早くこちらへお戻りになり、牛に乗ってゆっくりお帰りいただきたいという願いが込められています。

白紋天の準備

新盆の慣習でもうひとつ紹介したいのは、「白紋天(はくもんてん)」と呼ばれる白い提灯についてです。

通常のお盆では、精霊棚の手前に盆提灯(ぼんちょうちん)を一対並べます。これには先祖の霊に迷わずお帰り頂きたいという願いが込められています。

新盆では絵柄の入っていない白い提灯を、新仏が迷わず家にたどり着けるように、玄関の軒先に下げておきます。また、白紋天は新盆の法要に参列するお客様への目印にもなります。

近年の住宅事情から屋外に下げられないときは、室内でも外から見える場所に下げておくとよいでしょう。

新盆で使用した白紋天は、送り火のとき燃やしたり、寺院のお焚き上げで供養していただきます。

新盆法要の流れとマナー

僧侶や新盆法要の参列者に連絡する

新盆の風習は地域や宗派によって異なりますが、故人が亡くなって初めて帰ってくる大切なお盆の法要になるので、家族だけでなく親族や友人などを招き、僧侶に読経をあげていただくのが一般的です。

新盆は7月に行う地域と8月に行う地域があります。お盆の期間はどこの僧侶も多忙になるため、まず寺院に連絡して新盆の法要を営む日時と場所を決めます。
会食を予定している場合は、僧侶も同席いただけるか確認しましょう。

地域のお盆に法要を合わせるためには、遅くとも2ヵ月前までには寺院に連絡しましょう。

法要の日程が決まったら、お呼びする親族や友人へ連絡します。参列者が身内だけの場合は、電話連絡でもかまいません。

精霊棚(盆棚)の準備

お盆の期間は地域によっても異なりますが、一般的に13日から16日の4日間とされています。
その間、位牌を仏壇の外に出して精霊棚にお飾りします。精霊棚をはじめとするお盆飾りの準備は、お盆月に入った頃から始めるのがよいでしょう。

「迎え火」と「送り火」

「迎え火(むかえび)」はお盆の初日の夕方に、先祖の御霊が迷わず家に戻ってくるために、「送り火(おくりび)」はお盆明けの夕方に、先祖の御霊があの世へ無事に帰れるようにと願いを込めて、自宅の玄関や庭先などで焚きます。

迎え火と送り火のために準備するのは、「焙烙(ほうろく)」と呼ばれる素焼きの皿と、「おがら」という乾燥させた麻の茎です。

古来より麻には魔除けの力があるされ、迎え火や送り火に使うことで悪い霊を寄せつけず、その煙が先祖の御霊を案内するといわれます。焙烙やおがらは、お盆の時期が近づくとスーパーや花店、仏具店などで手に入ります。

お盆明けに行う送り火は地域ごとに特色があり、川や海へ先祖の御霊を送る灯篭流しをはじめ、長崎の精霊流しや京都の五山の送り火のように伝統行事として行われるところもあります。

新盆の法要

故人が亡くなって初めて里帰りする新盆には、親族をはじめ故人の親しかった友人なども招き、僧侶に読経をあげていただきます。

新盆の法要は自宅や菩提寺、お墓の前などで執り行われるのが一般的です。

服装

このとき参列者は、喪服か略式礼服で伺うのがマナーとされています。
略喪服とは、男女ともにシックな色合いの服装のことです。リクルートスーツなども略喪服に分類されます。

夏の盛りに営まれる法要であり、身内の集まりということから、施主から「普段着で構わない」と言われることもあるでしょう。
しかし、いくら普段着といってもTシャツに短パン、露出が多いノースリーブといったカジュアルな格好は避け、それほどかしこまらない服装で伺いましょう。

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香典

香典については、故人との間柄によっても変わりますが、兄弟・叔父叔母が1万~3万円、孫・友人で5000円~1万円が目安です。

新盆は四十九日を過ぎてから行われる法要なので、表書きには「御仏前」と書きます。

お布施

僧侶へお渡しする新盆法要のお布施の相場は、3万~5万円とされています。

表書きは「御布施」または「御経料」として、その下に「施主のフルネーム」を書くのが一般的です。

自宅などお寺の以外の場所へお越しいただいた場合は、「御車代」として交通費を別に包みます。法要のあとの食事に僧侶が同席しないときは「御前料」もお渡しします。

お返し

香典を受け取った施主は、お礼として参列者にお返しを送ります。

新盆法要では、香典の金額に関わらず、参列者全員に同じ金額で同じ物を用意します。ただし、受け取った香典が高額だった場合は、後日改めて香典返しを送りましょう。

お返しの品は、すぐに使ったり、食べられる物を選びます。具体的には長期保存できて、どこの家庭でも使うお茶やコーヒー、海苔、タオル、食油類などが選ばれる傾向にあります。

新盆でわからないことがあったらプロに相談

新盆の法要をはじめ、葬儀が終わってからもやるべきことはたくさんあります。

首都圏の葬儀に関する情報を発信するエンディングデータバンクが行った調査によれば、喪主を経験した方の7割以上が、「一番大変だったのは、葬儀後の各種手続きだった」と回答しています。

葬儀が終わってからも、葬祭補助金や年金の受給などの役所手続き、新盆法要や一周忌法要、お墓、遺品整理、香典返し等々、やるべきことは山積みです。

こうした遺族をサポートするために、専門の相談員が無料で、回数の制限なくアフターサポートをしてくれる葬儀社もあります。

葬儀社を選ぶとき、費用や会館については調べても、アフターサポートについて確認する人は、まだまだ少ないようで

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葬儀後のお手続きの相談はお葬式のむすびすへ
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まとめ

・「お盆」は一年に一度、その家のすべての先祖の御霊が家にお戻りになる期間で、もともとは「盂蘭盆会」という。

・東京など一部地域では新暦の7月15日の前後に、全国的には8月15日の前後に行われることが多い。

・「新盆」は故人が亡くなって四十九日の忌明け後、初めて迎えるお盆のこと。

・四十九日の忌明け前にお盆を迎えた場合は、新盆の供養は翌年に行う。

・お盆のとき先祖の御霊を迎える場所を「精霊棚(盆棚)」という。

・お盆の期間、先祖の位牌は仏壇から取り出して精霊棚の最上段の中央に飾る。

・新盆のときに新仏が迷わず家に辿り着けるように軒先に下げておく白い提灯を「白紋天」という。

・「迎え火」はお盆の初日の夕方、「送り火」はお盆明けの夕方に、自宅の玄関や庭先などで行う。

・新盆の法要を営む場合は、まず寺院に連絡して日時と場所を決める。

・葬儀社を選ぶときは、新盆の法要をはじめ、葬儀後の遺族をサポートするために、専門の相談員が無料で、回数の制限なくアフターサポートをしてくれる葬儀社がおすすめ。

よくある質問

  • 新盆とはどんな行事ですか?

    お盆は一年に一度、その家のすべての先祖の御霊が自宅にお戻りになる期間です。
    浄土に旅立たれた大切な方が、新仏となって初めてお迎えする新盆では、喪家は自宅に親族や友人を招いて、僧侶に「棚経(たなぎょう)」というお盆の読経をお願いする法要などを営みます。
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  • 新盆では、何か準備することはありますか?

    新盆では、精霊馬やほおずきを備える、「精霊棚(しょうりょうだな)」や、
    「白紋天(はくもんてん)」と呼ばれる白い提灯を準備します。
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  • お盆のことでわからないことがある、相談したい

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