葬儀社で働く女性を主人公に、葬儀社の社員や葬儀を行う家族、葬儀に参列する方それぞれの心情を描くマンガ『おわるうございます~葬儀社人情物語~』。作者の小塚敦子さんに、作品の登場人物にモデルはいるのか、どのようにして制作のテーマを考えているのか、作品で伝えたいことは何か、インタビューしました(以下敬称略)。

文・撮影 小澤 顕治(終活メディア編集部)

おわるうございます原稿

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義母の葬儀で気づかされた、「その人」だけのストーリー

――葬儀をお手伝いする方に関心を持つようになったのは、いつからでしょうか。

小塚「東日本大震災の後から、故人を送る方たちをテーマにしたいと考えていました。震災で亡くなった方たちのために、弔いの行脚をするお坊さん。ボランティアでバラバラになった遺体を探す葬儀社の方。そのことを知って、なんとかして葬儀社で働く方の姿を伝えることができないかと考えていました」

――連載がスタートしたのは2015年です。その間に、葬儀社を舞台に、マンガを描こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

小塚「今から3年前に、夫のお義母さんが亡くなったことがきっかけです。葬儀で幼馴染が読み上げた弔辞は、お義母さんとの幼い頃からの思い出がたくさんつまっていました。その弔辞のおかげで、私は『たくさんの友達がいて、楽しかったんだなあ、幸せだったんだなあ』と、今まで知らなかったお義母さんの人生を振り返ることができたんです。その時、改めて一人ひとりに人生があって、ストーリーがあることに気づき、葬儀をテーマに伝えていこうと考えました」

――『おわるうございます』の1巻に掲載されている、認知症になったおばあちゃんのお話に似ていますね。

小塚「その回は、お義母さんの葬儀をもとにしています。主人公の芽生(めい)ちゃんが、おばあちゃんの葬儀で弔辞を聞いた後に、『それぞれの人生に平凡や普通はないんだ』という思いを抱いたのは、まさに私の思いそのままなんです。

――主人公のモデルになった方はいるのでしょうか。

小塚「たまたま、近所に葬儀の仕事をしている娘さんがいたので、『これだ』と思いました。その娘さんは、主人公の芽生ちゃんのように失敗ばかりしていませんが(笑)。それから、地元の葬儀社を取材させてもらって、登場人物を決めていきました」

小塚敦子さんカラー原画

葬儀は、残された家族やご縁のあった方のために行われる儀式

――もともと、葬儀社にどんなイメージを持っていましたか。

小塚「そもそも葬儀社へのイメージ自体は持っていませんでした。震災がきっかけで、葬儀社に関心を持つようになって調べると、『法外な葬儀費用をふっかける』という悪いイメージばかりが先行していたので、本当の姿を伝えたいと考えるようになったんです。だって、葬儀社の方たちは遺族に代わってバラバラになった遺体を集めて、遺族に弔ってもらう葬儀の準備までしているんですよ。葬儀社を斜めから見る方には、『あなたはできますか』と聞きたいですね」

――連載では、認知症や老々介護など、様々なテーマで話が展開されますが、テーマはどうやって見つけるのですか?

小塚「ほとんどは近所の方との話をもとに、テーマを考えています。この年になると、話すことは食べ物のことか、病気のことか、葬儀のことが中心なんです。葬儀のことも、『私はこんな葬式がいいわあ』『子供たちには、こんな感じにしてほしいとお願いしてる』と、自身の葬儀についても話をしますね。

――小塚さんは、「こんな感じで見送られたい」というイメージはありますか?

小塚「葬儀の費用は残しておきますが、どんな葬儀にするかは家族に任せます。だって、葬儀は自分のためではなくて、残された家族やご縁のあった方のためにあるんです。それに、何もしなくていいと言っても、お骨は拾ってもらわなければならないんですから」

小塚敦子さん仕事場

故人の人生に敬意を払い、感謝を伝える時間を大切にしたい

――『おわるうごさざいます』を通じて、終活のひとつとして葬儀について考える方が増えるかもしれませんね。

小塚「生前から葬儀について考えることは、『縁起でもない』と考える方もいるようですが、私はこれからは『安心して死ねないと、安心して生きられない』という人が増えると思います。高齢になって認知症になったら、自分で死に方も決められないんですから」

――葬儀の儀式が簡略され、直葬という火葬だけで見送るかたちが増えていますが、この傾向をどう思いますか。

小塚「人が死ぬということを簡単に考えすぎていると思います。生まれてきたのも、今生きているのも、お父さん、お母さん、その上の代のおじいさん、おばあさん、さらに上の代のご先祖様がいたからです。故人の人生というものに、もっと敬意を払うべきだと、私は考えます。敬意と感謝を伝えられる場がお葬式なのではないでしょうか」

――これから、そうしたテーマの作品も取り上げられるんでしょうか。

小塚「今考えている作品がまさにそうなんです。楽しみにしていてください」

――最後に、作品を通じて読者に伝えていきたいとはなんでしょうか。

小塚「もしかしたら、お葬式は時代に取り残されて、『そんな儀式もあったね』なんて言われる未来が来るかもしれません。でも、それはあまりにも寂しくないですか。どんな方でも、その方なりの人生があり、お葬式はその人生にスポットライトが当たる時間です。一生に一度の大切な儀式なんだとういことを感じてもらえると嬉しいですね」

小塚敦子さんサイン

『おわるうございます』のドラマ化は?

小塚さんは、『おわるうございます』について、「もしドラマ化されたら、吉田羊さんや笹野高史さんがキャスティングされると嬉しいなあ」と、声を弾ませて話していました。

小塚敦子さんサインアップ

プロフィール
漫画家・くらもちふさこさんのアシスタントを経て、1984年に集英社よりデビュー。現在は、秋田書店が発刊する『エレガンスイブ』で、『おわるうございます~葬儀社人情物語~』を連載。コミックは1・2巻が発売中で、3巻の発売日は未定。

小塚敦子さんインタビュー

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